「舟越桂氏 自作を語る」
*長い休止符*
舟越桂さんの作品の中でも特に気に入っている作品です。
先日、愛知県小牧市のメナード美術館において
「舟越桂氏 自作を語る」という
講演会があったので、このチャンスを逃すまいとばかり母と出かけました。
ジーンズにジャケット、眼鏡姿にもうひとつ眼鏡を首から提げた舟越氏は
素朴で照れ屋で気さくな感じで、作品からイメージした方とは少し異なっていました。
画像を見ながらひとつひとつ丁寧に説明してくださり、不思議で素敵な
舟越桂さんの世界を十分に楽しむことができました。
なぜ作品の顔が少し小さいか
外斜視気味で遠くを見つめる瞳の秘密
なぜ顔の後ろに顔があるのか
なぜ肩から手がでているのか
耳の長いスフィンクスのイメージが固まったとき大喜びされた話
イラク戦争時に発表した戦争を見るスフィンクスの怒りと悲しみの表情について
首と胴体をくっつける作業について事細かな説明があったり
作品の搬入時、作品の指が折れた時、顔で笑って心で怒った話^^もあり
そして、文学的な素敵なタイトルについても説明
風をためて~積んである読みかけの本のように~森へ行く日
消えない水滴~砂と街と~支えられた記憶~教会とカフェ
午後にはカンターグローブにいる~言葉の降る森~午後の青
届いた言葉の数~届かなかった言葉の数~本の中の水路
音のない水~山と月の間~支えられた記憶~点の中の距離・・・
タイトルについては3パターンあるそうです。
1.作品が考えていることを想像して・・・
2.自分が考えている人間の言葉
3.モデル自身と話をしてモデルの人の人生に関わる言葉
どのタイトルも、作品の説明そのものにならないよう気をつけているそうです。
兎に角、ここまで詳しくお話をされていいのでしょうかというくらい
いろんなお話をしてくださりました。
私は舟越さんの作品は実際には2つしか見たことがないのですが
(「長い休止符」と「肩で眠る月」)
いつか作品展に行くのがとても楽しみです。
舟越桂氏オフィシャルサイトはこちら
*肩で眠る月*
やはりモデルとなる方がいらっしゃったそうです。
ヴァイオリンの才能溢れる彼は舟越氏の中学時代の同級生とのこと。
ソリストを目指していた彼は若くしてベルギーに留学、
しかしそこで音楽人生初の挫折か、上手くいかなくなり
帰国後、彼は廃人のようになってしまったらしい。
事故~医者~学生と波乱万丈な人生の彼は何十年も過ぎた今
再びヴァイオリンを手にしているとのこと。
「作品の彼」の悲しげな表情が少し明るくなったような気がしました。
by mame-nyanne
| 2010-10-12 23:11
| 美術館・博物館めぐり